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2022/09/12 21:25

どうしたら靴が売れるのかがわからない

さて、熱い想いとともにスタートしたブランドは「Mana’olana(希望)」という名前に決まり、いよいよ広い靴販売の世界に漕ぎ出しました。協力してくれるメーカーさんも見つかり、アドバイザーがついてくれました。のちに「エカヒ(最初の)」と名付けられた試作品が女性用パンプス第一号として商品化が決定し、本格的に靴を売り始める準備が整いました。

試着販売会を開いたり、イベントに参加したり、モニターさんを集めたり。しかし注文はなかなか決まらなかった。手にっとってくださる方はいても、購入にまでは結び付かなかったのが実情でした。いったいお客様はどこにいるのか。どういう靴を求めているのか。この問題を解決するためふーちゃんは四方八方に奔走したけれど、さきゆきは袋小路に入り、経費がどんどん膨らむばかりでした。

この時の私は、「もしかしたら、この靴は需要がないのではないか」という疑問を持っていました。

すごくおしゃれな下肢装具ユーザーしか、この靴を必要としていないのではないか。みんなは今の靴で満足しているのではないか。病後、おしゃれに気持ちを向ける余裕なんてないのではないか。ふーちゃんにこの靴が必要なのは理解できる。けれど、そのほかの人は? そしてその数は何人いるの?

「下肢装具ユーザーのためのおしゃれな靴」市場という意味でMana’olanaを捉えたとき、数字はまったく見えなかった。そこには真っ暗な裂け目があるだけで、私はまったくの無力でした。

青山ウエディングイベントがもたらしたもの

そんな中、Mana’olanaは青山のベストブライダルさんのイベントに出展することになりました。

お客様を募集して2名のお客様が、ウェディングフォトに参加することになり、細々とした打ち合わせが続いていました。暑いけど、青空がきれいな夏の日、「靴はできてきたけど、お客様ってどこにいるのかな」ふっと出た私の疑問に、移動の車内でふーちゃんはこういいました。

「みんなが求めているのはもっと普通のことだと思うんだよ。普通に自分にあった服を着て、自分で選んだ靴を履いて、外に出て、楽しむこと。

だって、障がいあるってなったら、外にでかけたくなくなる。ちょっとでかけるにもいろんなバリアがある。バリアに苦しんでいる人も、きっとたくさんいる。

その時に、靴くらい、自分がいいなと思うものを履けたら、元気がでると思うんだよ。それでみんながもっと外にでかけたら、バリアもだんだん変わっていくと思うんだ」

ふーちゃんが語る声を聞きながら、何にもわかっていない私は、わかっていないながら、すっごく楽しそうな世界のイメージを頭に浮かべていました。

病気になっても、事故にあっても、障がいがあっても、もう一度立ち上がれる。

自分で選んだものを身につけて、楽しくでかけられる世界。

これって実は、障がいあんまり関係ないかもしれない。みんなが楽しくでかけられる世界は、子どもやお年寄り、お母さん、いろんな人たちに優しい世界。Mana’olanaの靴は、その世界を実現させるためのきっかけにすぎないかもしれない。

そしてブライダルイベントは大成功! 私は参加できなかったのですが、その模様がこちらの動画におさめられています。

正装で美しく装った人たちの誇らしさと喜びのパワー。そのパワーは車椅子から彼を立ち上がらせ、二人を笑顔で包んだのでした。このイベントをきっかけに、私はMana’olanaとふーちゃんのビジョンに対して、これまでとまったく違った見方をするようになったのでした。

そして同じ年の2019年、Mana’olanaブランドを擁する株式会社LUYLが誕生しました。それは靴を作っているけど靴屋さんではなく、「だれにとっても選択肢のある日常」を実現する会社になったのです。

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